2024年09月11日
良さそうな部屋を見つけたので不動産会社に連絡。店舗を訪れて内見を希望すると
「既に入居が決まってしまいました」との返事が……。「せっかく不動産屋さんに行ったのに物件を見られなくて残念だった」、
「その部屋に住む想像をしていたのにがっかりした」と思いますよね。
「本当にその物件はあったのかな?だまされた気分…」「もしかしておとり物件だったの?」と思う人もいるかもしれません。
では、どのようにすれば、「おとり物件」を見分けられるのでしょうか。
サイトに掲載されているけど、入居できない「おとり物件」
「おとり物件」とは、不動産ポータルサイト(SUUMOなど)に掲載されているのに、
「現実に存在しない物件」「建物はあるけれども実際には入居できない物件」のことをいいます。SIRE代表取締役の木津さんは「おとり広告やおとり物件は大きくわけて、意図して掲載されているものと、ミスや仕組みによってどうしても生まれてしまうものがある」と解説します。
そもそも、「おとり物件」が生まれる背景には
昨今では、架空の物件を掲載するなどの悪意をもったおとり物件は、倫理的な観点やポータルサイトや不動産公正取引協議会の規定等が厳しくなったこともあり、あからさまに行う不動産会社は少なくなりました。
一方で、不動産会社は、契約申し込みが入ったことを知っていてもすぐに取り下げたりせず、来店時に入居が決まったと伝えるということは、現実にはまだあるようです
なぜ「おとり物件」ができる?意図せずにできてしまう理由と背景
一方で、意図しないミスやリアルタイムに情報が共有されない不動産業界の構造上、できてしまう「おとり物件」があります。
それを理解するためには、まず不動産会社の種類を知る必要があります。不動産会社には、大きく分けて「元付会社(オーナーから直接物件を預かっている)」と「客付会社(他社から物件情報を収集している)」の2種類があります。
ミスによってできてしまうおとり物件
上記の不動産会社の種類を把握したうえで、2つのパターンをご紹介します。
まず1つ目は成約済みの物件を削除し忘れたケースです。「自社で管理していてすでに成約済みとなった物件を削除し忘れた」「リアルタイムの成約状況を把握せずにインターネット広告を掲載してしまった」というミスにより、おとり物件になってしまうのです。
各社システムも異なり、更新頻度も異なるため、自社システムで削除していても、数日はポータルサイトに反映されず、そのまま掲載されていることもあるのです。
仕組みとしてどうしても発生してしまうもの
2つ目は業界の構造上の理由でどうしても発生してしまうケースです。
各ポータルサイトや不動産公正取引協議会の規定では、この掲載物件の情報更新頻度は1週間と定められていることから、最大1週間は気づかずに掲載を続けてしまうことになります。そのため、実際には入居申し込みがあったとしても情報が共有されず、あらためて物件確認をしたらすでに決まっていた、ということが発生してしまうのです。
※掲載している物件の募集がまだ行われているかどうかを、客付会社から元付会社にすることを、「物件確認」といいます
「特に1月から3月の繁忙期は、数分前まで募集していた物件にタッチの差で入居申し込みが入ってしまうことがよくあります。そのため店頭で『この物件、決まってしまったんですよ』といわれたとしても、借り手の立場では、悪意によるものなのか、ミスなのか、構造上のものなのか、見分けたり、見極めたりするのは非常に難しいといえます
おとり物件に振り回されない、4つの見極め方と知っておきたい対処法
では、おとり物件にまどわされずに、理想の部屋と出合うにはどうしたらいいのでしょうか。お部屋を探している人ができる4つの見極め方と、1つの対処法をご紹介します。
(1)電話やメールの問い合わせ時点で、物件の募集が終了した場合、知らせてほしいと念を押す
不動産会社にメールや電話で問い合わせをしたときに、「物件の募集が終了したら知らせてほしい」とあらかじめ念押ししておきます。募集が終了していれば来店しない、見学しないという気持ちをしっかりと伝えて、「この物件が気に入っているから見学したいんだ!」という姿勢を見せておくのです。
また、内見の約束をしている当日の朝に、問い合わせた物件がまだ募集しているかどうか確認する手も有効です。
この方法であれば希望物件をその日にきちんと見学することができます。
(2)物件に現地集合して、内見の約束をする
不動産会社の店頭に来店後にお部屋の内見をするのではなく、物件の現地で集合し、内見の待ち合わせをしておけば、「すでに決まってしまった」という状況にならずにすみます。
ただし現地集合で道に迷ってしまう可能性もありますし、周辺環境などのガイドを受けることはできません。
また、店頭で他のおすすめ物件の提案を受けられる機会を失ってしまうので、注意も必要です。
(3)複数の会社に問い合せする
同じ部屋を複数の会社が取り扱っている場合、1社に問い合わせてみて、不安になるようなやりとりであれば、別の不動産会社に問い合わせしてみてもよいかもしれません。
ただし、複数人のスタッフの時間をとることになるため、モラルとしてはあまり良い手段ではありません。
(4)信頼できる仲介会社を選ぶ
問い合せのたびに会社を変えるのではなく、案内してくれる会社を絞り、担当者と信頼関係を築く方法もあります。時期を区切らずよい部屋に出合いたい人や、ていねいに、満足いくお部屋探しをしたい人におすすめです。
ただし、期間や時間が必要になるため、「○月末までに引越し」などの期限が決まっている人は使えません。
早めの行動と、情報収集、決断スピードが家探しのカギ
好条件の部屋や希少価値の高い物件は、インターネットに掲載されるとすぐに入居申し込みが入ります。
特に部屋探しをする人が増える1月~3月は希望者が集中するため、一段と競争が激しくなります。まずは不動産ポータルサイトなどでしっかりと情報収集と検討、リサーチを行い、自分の希望条件をクリアにしておきましょう。
また、物件見学をするときは「その物件があいていれば絶対に契約する」と気合いを伝えておくと、不動産会社の担当者も親身になってくれます。
特に繁忙期は即決する人が多いので、早め早めに行動するとともに、不動産会社を味方につけるとよいでしょう。
申込状況がリアルタイムに情報共有されない不動産業界の構造上、生まれてしまうことがある
内見前に「募集が終了したら教えてください」と伝えることで、無駄足を踏まなくて済む
物件見学後はすぐに申し込みをするなど、スピード感をもって決断することが大切
カテゴリ:不動産業ブログ