株式会社Y's upの不動産業ブログ

孤独死の増加

賃貸に住む一人暮らしの人が亡くなった後の遺留品の処分について、親族と連絡が取れず、多額の費用や時間・手間がかかることや相続権によるトラブルなどで撤去が難しいことが問題になっています。

実際にどのような問題が起こっているのか、また孤独死の現状や遺留品処分の最適な解決方法とは?

 

単身世帯の増加で「孤独死」が年々増えている!

長寿化や核家族化の影響で単身世帯が増え、それにともない孤独死の件数も年々増えています。また、一般的に「孤独死」という言葉を聞くと身寄りのない高齢者をイメージしますが、

60歳以下の孤独死も増えているそうです。

たしかに、もし家族がいないと考えると、自分の看取りや葬儀、死後事務を一体誰に頼んでおけばいいのか、分かりませんね……。住まいについて言えば、大家さんに対応してもらうようなことも生じるのでしょうか。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

遺留品の処分が大きな問題に

「大家さんにとってまず必要なこととして考えられるのが“家賃や共益費の滞納分を誰に払ってもらうのか”ということと“原状回復をどうするのか”の2つだと思います。

ご存じの通り住居内で死亡された場合、その住居は”事故物件”として扱われ、しばらくの間、入居者の募集が厳しくなります。

 

よく孤独死の問題として取り上げられるのはその2つですが、見落とされがちなのが”残置物・遺留品の処分”です

実際に私も家族のいない人が亡くなった場合、その人が残した物を誰がどのように処理していくのか想像がつきません……。

「日本少額短期保険協会が行った調査では、孤独死の際に大家さんに生じた損害額が明らかになっています。原状回復にかかった費用の平均が約36万円ですが、残置物処理にも平均で約21万円程度かかっているのです」

日本少額短期保険協会「第4回孤独死原状レポート」より抜粋

日本少額短期保険協会「第4回孤独死原状レポート」より抜粋

大家さんの管理次第で、遺族から訴えられることも

21万円! それは大家さんにとっても大きな負担です。さらに奥田さんは、残置物処理については費用の問題だけではなく、相続の権利が最もトラブルになる原因だといいます。

「相続人がはっきりしない場合でも、第三者である大家さんが亡くなった人の物を勝手に処分をすることはできません。それは使い古した家財道具など財産としての値打ちがほとんどないものでも同じです。

そのため、相続人が見つからない場合、大家さんが家庭裁判所に申し立てをすることで相続財産管理人を選任する制度があります。

ところが、この制度を利用するには、与納金として80万~100万円が必要です。また最終的に遺留品を国庫に引き継ぐまで平均で10カ月程度を要するため、

その間の残置物の保管や管理・運搬費用も、大家さんにとっては大変な負担となります」

 

法や政治が行き届かない部分を埋める、NPOの取り組み

このように現在、残置物処理の問題は本質的な解決が非常に難しい状況にあります。

国会では既に遺留金について質疑がなされていたり、2017年1月には国土交通省が全国の都道府県に対して公営住宅で亡くなった単身者の残置物への対応方針を策定するよう通知したりしています。

けれども、民間賃貸住宅について実行力のある法改正が行われるにはまだまだ時間がかかりそうです。

そうした国や自治体の法制度が行き届かない“穴”を埋めるべく、抱樸では独自で自立のサポートや互助の仕組みを設けています。

「抱樸の自立生活サポートセンターでは、ホームレスの方を中心に自立、介護、そして最後の看取りまでサポートしています。

抱樸では、自立支援住宅の提供などを通じて、「ハウス=経済的貧困」と「ホーム=社会的孤立」の両面から支援をしている。写真はお弁当配布時の様子(画像/抱樸)

抱樸では、自立支援住宅の提供などを通じて、「ハウス=経済的貧困」と「ホーム=社会的孤立」の両面から支援をしている。

また、亡くなった後にお葬式をやってくれる家族がいない人のために、月500円で入会することができる互助会も運営しています。万一のことがあったときには、互助会が家族の代わりにお葬式を執り行うのです。家の片付けや遺留品の処分は、ボランティアの人たちで行います。それでもやはり、処分後に遺族が現れて相続権を主張されるようなことがあれば、トラブルになりかねないでしょうね

身寄りのない人を家族に代わって葬儀を行ったりする活動もしている(写真/抱樸)

単身者でも安心して住み続けられる未来のために

これらの問題を解決して、単身者の人でも安心して住み続けるためにはどのようにすればいいのでしょうか。改めて奥田さんの考えを聞きました。

「現在、行政で行われている空き家の撤去や休眠預金の活用等は本来、個人の財産であるものを公共性の観点から行政が手を入れられるように法制度を改定したものです。

同様に残置物についても同じような手続きが取れるようにしないと、関連するさまざまな問題が放置されたままの状態になります。

 

多くの人にとって他人事ではなく、この問題に関心をもってもらい、国や自治体の具体的な施策につながることを望みます

 

たしかに奥田さんのいう通り、訴訟リスクや処理費用の負担を大家さんだけに委ねている現状では、単身者に家を貸したくないと考える大家さんは少なくないでしょう。

この状態が続けば、現在でも住宅の確保が難しい身寄りのない人や高齢者、障がい者、外国人などの人たちが一層困窮する可能性があります。

 

特に家族のいない単身者であれば、住む場所を失ってさらに孤立を深めることになりかねません。

残置物の問題は単体の問題だけではなく、住宅確保や生活保護の問題にも、影響していく可能性があるのですね。

単身者、つまり「ひとり暮らし」になる可能性は誰にとっても無縁ではないでしょう。実際に私も将来、親がどちらか亡くなってしまったら、兄弟や子どもと疎遠になってしまったら、と考えると自分や家族のことが不安になります。

将来の不安を払しょくするために私たちができることは、まずは現在起こっている問題に興味をもち、市民として有権者として積極的に声を上げることかもしれません。

建設現場の施工管理とは?

建設現場の施工管理とは?必要な安全管理についても解説します。

サステナブルな働き方の実現に向けて、様々な業界が取り組みを進めていますが、建設業界もその一環です。

建設現場において安全かつ円滑に工事を勧められるように工期全体を管理する役割を担っているのが施工管理です。中でも、作業員の健康と安全の確保を目指す

安全管理は、職場環境の整備の為だけでなく工期内の工事完遂を実現するための要素としても重要視されています。

 

 

施工管理とは?

品質管理・コスト管理・工程管理・安全管理・環境管理の総称で、建設現場において安全に配慮しつつ作業員を指揮監督し工事全体を管理する業務の事です。

施工管理の業務内容は、工事ごとのスケジュール管理、業者との打ち合わせ、作業員の調整、建設資材の発注・納期管理・品質管理のほか、書類の作成や役所への手続き、

工事依頼者への対応など、多岐にわたります。

 

安全な作業環境を確保するため、建設現場を巡回することも施工管理の重要な役割の一つです。

施工管理の仕事にあたり資格は不要ですが、将来的に施工管理者として働きたい場合は、現場で経験を積みながら

”施工管理技士”の資格を取得するのが一般的です。

”建築施工管理技士”の資格には、1級と2級がありそれぞれ業務範囲が異なります。

2級建築施工管理技士であれば、すべての工事現場に配置が義務付けられている”主任技術者”の業務を担う事ができます。

 

施工管理の5つの要素

施工管理では、定められた工期内高品質な建物を予算内で建設することが求められます。さらに、作業員の安全や建設現場周辺への配慮も欠かせません。

・品質管理

建物の品質や安全性を確保するために重要になるのが品質管理です。

仕様書や設計に基づいて、耐震性や耐火性などの法令基準を満たした建物を建設するよう管理します。材料を正しく使っているか、

工法を守っているか、強度やゆがみ、寸法に問題はないか確認するほか、要所で施工状況を撮影し適切な工事ができているか確認することも重要です。

・原価管理

高品質な建物を建設しても、コストがかかりすぎれば利益を確保できません。そこで必要になるのが原価管理です。

人件費や資材費などの原価を計算し、予算内で工事を完了できるように調節します。

工事を始める前に、工事の規模や内容など考慮して予算書を作成し、削減できる費用はないか考えることも必要です。

 

・工程管理

期限までに工事を完了できるよう、スケジュールを作成し、進歩状況を確認しながら工期を管理します。

建設現場では天候やアクシデントにより、期限の変更を余儀なくされることがあります。

 

・安全管理

危険な作業の多い、建設現場において、安全に工事を進めるための環境を整える業務が安全管理です。作業現場をパトロールして

危険な場所や作業を把握し起こりうるリスクを作業員に周知したり、機械や工具を定期的に点検し不具合があれば修理をしたりします。

 

・環境管理

建設工事によって周囲に騒音や振動の被害を与えないように、また、工事によって自然環境えお損なう可能性が無いように対策を講じる必要があります。

周辺環境・自然環境・職場環境などがありどの環境を重視するかは建設現場によって異なります。施工管理者はあらかじめ各現場や周囲を調査して状況を把握し

それぞれに必要な対策・措置を検討することが求められます。

 

施工管理の中でも重要な安全管理

建設工事で何よりも重要なのは、無事故で工期内に工事を完了させることです。

人命がすべてにおいて優先されるのはもちろんの事、それに加えて施主・工事業者をはじめ、工事にかかわる企業にとって安全が経済的なメリットにも

繋がります。

 

もし事故が発生すれば工事が停止し、不稼働による損失や納期遅延が発生する恐れがあります。

こうした観点からも、工事現場における安全意識は年々高まっており、施工管理における安全管理もさらに重要視されています。

・事前準備

安全衛生計画の作成

安全管理衛生管理の基本方針や目標、労働災害防止対策などの安全衛生管理計画を作成します。

作業手順の作成

■ 作業場所の安全対策

 

3. 高所作業での安全対策
現場環境を考えて、安全で使いやすい設備機械を使用するようにします。

開口部周辺には囲いや手すり・養生ネット・蓋などを設け、足場上で作業する作業員や工具、材料などの落下を防止する安全ネットや手すりなどを設置します。

墜落・転落のおそれがある場所で作業する作業員に対しては墜落制止用器具の使用を徹底し、その扱い方や機能についての特別講習を実施します。

 

4. 滑り転倒防止対策
作業通路の段差や凹凸、継ぎ目などを解消し、階段に滑り止めテープを貼り、転倒の注意喚起をする看板などを設置します。

常に整理、整頓、清掃を徹底することで、物につまずいて転倒したり、床面の水濡れで滑ったりなどの事故を未然に防ぐことができます。

 

5. 季節や天候に応じた安全対策
屋外での作業が多い建設現場では、猛暑や雨天、強風など季節や天候に応じた対策が必要です。

外に置いている資材が雨に浸水したり、強風で飛ばされて落下したりしないように注意します。また、悪天候により墜落などの事故が予測されるときは、作業を中止する判断も必要です。

■ 定期点検

6. 安全パトロールの実施
作業現場に潜む危険要因を見つけるため、毎作業日1回以上巡視し、問題を発見した場合、改善を図ります。

7. 決められた手順・工法を守っているかを確認
事前に作業手順を検討して、作業者に周知します。また、決められたルールや作業手順を守り、正しい工法で作業しているかを巡視して確認します。

8. 使用する機械や設備、器具の安全点検
作業を開始する前に、機械に誤作動や故障がないかを点検し、修理などを実施します。足場や型枠支保工などの仮設設備については工事中も点検・整備を励行します。

また、墜落制止用器具の 点検・保守、保管や安全ネットの損傷確認なども徹底します。

■ 作業員への対応

9. 作業員の体調や睡眠のチェック 
ヒューマンエラーを防ぐため、作業員の日常の健康状態を把握するとともに、作業開始前に、

風邪をひいていないかなどの作業員の体調や睡眠不足の状態のまま現場に立っていないかなどをチェックし、状況に応じて適正な配置を行います。

作業中も頻繁に巡視して、作業員の体調に異常はないかを確認し、作業員同士での声掛けを促します。

 

10. 作業開始前の打ち合わせ
毎日、作業開始前に作業員を集めて打ち合わせを実施します。

 

11. 作業員への教育の強化 
現場に新しく配属された作業員だけでなく、ベテラン作業員も含めて、リスクを予知・回避するための教育をします。

新規作業員に対しては、初めて建設現場に入場する際に実施する「新規入場者教育」の場所や資料提供などの支援をします。

 

12. ヒヤリハットの共有
重大な事故には至らなかったものの、その恐れがあった事例を「ヒヤリハット」といいます。

どこでどのようなときにヒヤリハットが起こったかを記録し、作業員に共有することで、事故を未然に防ぐ効果が期待できます。

事故や災害が発生した場合は、工事施工や安全管理、現場の責任者や事故の関係者とともに原因を追究し、再発防止対策を立てます。

 

 

施工管理に求められるさまざまな能力

前章では安全管理について詳しくお伝えしましたが、施工管理は重要であり、ひとつとして欠かすことはできません

業務内容が多岐にわたる施工管理には、次に挙げるような幅広い能力が求められます。

■ コミュニケーション力 

施工管理の仕事では、工事現場の作業員や職人、会社の上司、関連会社の人など、少なくとも数十人もの人とやり取りを行います。

現場での人間関係が良好であれば相互理解が進み、チームワークが高まり円滑 な作業につながります。性別や年齢、

経験値が異なる人が混在する現場だからこそ、どのような人とも円滑にコミュニケーションを図れるスキル が求められます。

 

■ マネジメント力

施工管理ではプロジェクト全体を把握し、作業員のモチベーションを保ちながら業務を進行する能力が必要です。

 

■ 問題解決力

建設現場は機器の不具合や資材の納品遅れ、作業員の欠如や事故・災害、近隣からの苦情など、予期せぬトラブルが発生します。

施工管理では起こりうるリスクを察知し、対策をとれる危機管理能力が必要です。また、発生してしまったトラブルに対して適切に対処できる判断力や問題解決能力も欠かせません。

 

■ スケジュール管理能力

工事を期限まで完了するためのスケジュール管理能力も重要です。悪天候や作業員不足などで予定通りに作業が進まない事態も考慮したうえで、

進捗状況を確認しながら工期内に完了させる能力が必要です。

まとめ

施工管理は、建設現場にかかわる人たちを取りまとめ、安全な環境で期日までに工事を完成させる重要な役割を担っています。

危険性をともなう建設現場では作業員の安全の確保が何よりも重要です。そのため、「安全管理」は最優先事項であり、

安全な環境の確保は、工期内に安全に工事を完了するだけでなく、作業員が安心して、やりがいをもって働き続けることができる職場環境の実現にもつながるでしょう。